成功企業を見て学ぶ!オンボーディングに必要な3つの要素

  • LINEで送る

SaaSという形態でサービスを顧客へ届けるということは、「継続率」が企業の業績そのものを支えるといっても過言ではありません。

顧客の満足度を維持することが契約継続率に大きな影響を与えますが、契約したての“初心者”にいかに満足してもらえるかどうかはオンボーディング期の「驚き」「感動」が重要です。

今回は顧客にいかにしてオンボーディングに成功してもらい、定着化を促進すべきかについて事例をもとに考えてみましょう。

ユーザーの定着に重要な役割を果たす“オンボーディング”

SaaSという“仕組み”で顧客の利用継続を促す要素は、サービスそのものが使いやすい、適切なサポートを提供するという方法で「離れられないサービス」にすること、ともいえるでしょう。

■オンボーディングとは

オンボーディングとは、契約したばかりの、もしくは無料試用期間中のユーザーを定着させるためのプロセスを指します。

オンボーディングという言葉は、企業人事の場でも使われます。新入社員の離職を回避しながらスピーディーに即戦力化するため、業務に慣れてもらうプログラムを指すものです。

このことからわかるように、契約してくれた顧客に「使い慣れてもらう」「使う最中に混乱を起こさせない」「必要なサポートを準備しておく」ことが、SaaSにおいてのオンボーディングとなります。

SmartHRから学ぶ、オンボーディングを成功させる3つのポイント

では、SaaSにおけるオンボーディングはどのように行うものなのでしょうか。オンボーディングの概念は、日本ではまだ歴史が浅いので「具体的にどのように取り組めばよいのか」とお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

オンボーディングの事例として理解しやすいのがSmartHR(クラウド型労務管理)の事例です。SmartHR(株式会社クフ)はそのサービス内容(仕組み)も秀逸で、2016年度グッドデザイン賞も受賞しています。

■1.オンボーディングのパッケージング化

サービスリリースからすぐは、約3名体勢でチャットサポートを中心に行っていましたが、翌年、顧客1社あたりの規模が大きくなり始めました。このことを受け、

・初期導入サポートチーム
・チャットサポートチーム

の2チーム体制を組みました。

導入規模の大きな会社にはハイタッチ(導入前や導入後の定期ミーティングなど)で、中小企業へはロータッチ(電話ないしはWEB経由の接触)でフォローアップを行っています。

サービスそのものにもテックタッチを組み込み、ユーザー自身である程度問題解決ができるようにしています。

ロータッチ客には、オンボーディングに向けてサポート内容をパッケージング化しました。

・導入前の「キックオフWEBミーティング」
・導入後に「トレーニング(顧客の状況に沿った設定/動画による使い方説明)」
・キックオフミーティング時に定めた進捗を示しているかのチェック
・運用スタートから1カ月ほど経過した頃、再度WEBミーティングでヒアリング、問題点やその解決法の情報交換を行う

■2.ゴールの明確化

顧客により、「何を目指せばよいのか=ゴール」は異なります。その企業の抱える問題点、どのようにしてそれを解決するのかはそれぞれ違うからです。

同社では、キックオフの段階でそれらを相互確認し、企業側と同社とでそれぞれ何を担うのかを決定します。そうすることで、導入時の流れや導入までのスケジュールがはっきりするからです。

このとき、欠かせないのがキックオフミーティング時の質疑応答です。導入そのものに関する疑問を払拭することのみならず、

・誰が何から着手すべきか
・いつまでに企業側/同社が何を行うべきなのか
・運用がスタートすれば何が実現できているか(振り返りにより効果実感につなげる)

をより明確にでき、導入前/導入後の“つまづき”を最低限度に抑制することができるからです。

■3.利用状況の監視

さて、サービス導入後、同社はどのようにサポートし、オンボーディングを実現しているのでしょうか。

訪問によるヒアリングはもちろんのこと、

・活用状況を数値で把握

することも行っています。

ログイン数など、指標となる数値を導入企業に理解してもらい、導入企業自らそれらの数値を計測できるようにする、そして効率化を目指すマインドを持ってもらうようサポートします。

この中でも同社が重視しているのが、

・情報インポート
・入社社員に関する各種手続き
・紙ベースでの給与明細配布の低減

の数値です。

これらは、SmartHRの提供する労務管理の基本中の基本、重要な数値ですので、見落とすことはできません。もしも導入前に定めたスケジュールに追いつけないユーザーを発見したときは、メールなどを使い現在の状況を確認します。

数値ではわからない問題点は、先に挙げたように訪問でのヒアリングで確認します。

・オンボーディングを阻む問題は何か(人なのか/慣習から抜け切れない部署があるのかなど)
・実際に使用してみてさらに改善を望む点はないか
・今後リリース予定の機能があれば、それによってどのような問題を解決できるのかを提示し、継続利用を促す

※「SmartHRのオンボーディング戦略│Speaker Deck」
https://speakerdeck.com/masabe/smarthrs-onboarding-strategy

ユーザーの定着化には、「計画/実行/監視と振り返り」が重要

SmartHR(株式会社クフ)の実例で理解できるように、ユーザーの定着化には次の3点が重要です。

 1.事前の計画(問題点/サービスでどう解決するか/担当者は誰か/導入にまつわるスケジュール)
 2.導入してからの活用状況の確認(ログイン数/サービス利用時間/FAQページへの流入数などのチェック+ヒアリングにより導入後のトラブルの有無や疑問点のチェック)
 3.当初計画で“目指したもの”にリーチできているかの確認

特に導入後の状況確認とゴールに向かう道のりで生じた問題の洗い出し、その問題に対するサポートはことさら重要で、これらを最適なタイミングで実行しなければなりません。

タイミングを逃してしまえば、顧客は「使いづらい」「全社で足並みが揃わない」という経験を経て利用頻度が低下し、チャーンへとまっしぐら、となってしまうことも考えられます。

逆にいえば、これらのサポートをきちんと行えば、しっかりと使えるようになった顧客が、さらなる利便性を求めていることを発見できるかもしれません。この場合は、さらに多くのサービス契約(アップセル/クロスセル)も可能かもしれません。

こうして誕生した“ロイヤルカスタマー(パワーユーザー)”は、関連会社にも同じサービスの利用をすすめてくれるかもしれません。グループ企業全体にサービスが広がれば、最初に導入した企業の満足度はあがりますし、自主的にグループ企業勉強会を開いてくれるようになるかもしれません。

チャーンという負のスパイラルを避け、さらに顧客単価をあげたいのであれば、ユーザーの定着化「オンボーディング」の局面を重要視しなければなりません。顧客の異変に注意を払い、スピード感をもって対応する体制づくりが大切なのです。

まとめ

ユーザーの定着化には、「導入計画(≒オンボーディングのパッケージング化)」「ゴールの明確化」、そして「利用状況の監視」というステップが欠かせません。これは、多くの企業で導入しているPDCAサイクルに似ています。

どのステップが欠けてもうまく回りませんが、SaaSにおいては、本来“顧客マター”であるものにも敏感であり、「使いづらい」「もっとよい使い方はないか」という疑問を素早く察知して正しい回答をスピーディーに提出することが大切です。

サービス内容のみならず、サポート体制にも満足してもらうことができれば、顧客の定着化(オンボーディング)に成功することが可能なのです。

  • LINEで送る

関連記事

オンボーディング成功に向けて、いますぐ始められる3つのこと
BtoBでオンボーディングに課題を感じている方向けに、すぐに始められるオンボーディング成功に向けた3つのアクションについてご説明します。


記事へ